~人がつながると、組織は動き出す~

「ちゃんと伝えているのに、なぜ伝わらないんだろう」

「何度話しても、なかなか人が動かない」

「一生懸命やっているのに、なぜか結果につながらない」

経営者やリーダーの方とお話ししていると、こんな悩みを耳にすることがあります。

そこで今回から、

「人がつながると、組織は動き出す」

というテーマで、何回かに分けて「コミュニケーション」について考えてみたいと思います。

コミュニケーションは「話すこと」だけではない──

コミュニケーションというと、

「上手に話すこと」
「相手の話を聞くこと」
「分かりやすく伝えること」
「人間関係をよくすること」

そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

もちろん、どれも大切です。

でも最近、私は思うのです。

これらはすべて、コミュニケーションのための「手段」なのではないか、と。

もっと根っこのところにあるもの。

それは、

コミュニケーションとは、「つなげること」。

なのではないでしょうか。

何と何を「つなげる」のか──

「つなげる」と言っても、人と人だけではありません。

たとえば、

  • 自分と自分をつなげる
    自分が何を感じ、何を考え、本当はどうしたいのかを知る。
  • 自分と現実をつなげる
    自分の思い込みや解釈と、実際に起きていることを分けて見る。
  • 自分と相手をつなげる
    自分が伝えたかったことと、相手がどう受け取ったのかを確かめる。
  • 意図と行動をつなげる
    「こうしたい」という思いを、実際の意思決定や行動へ移していく。
  • 行動と結果をつなげる
    起きた結果をフィードバックとして受け取り、次の行動を考える。

こうして考えてみると、コミュニケーションは、人と上手に話すためだけのものではありません。

自分・相手・現実の間につながりをつくること。

私は、そこにコミュニケーションの本質があるように感じています。

頑張っているのに、なぜか前に進まない──

仕事でも組織でも、一生懸命やっているのに、なぜかうまくいかないことがあります。

結果が出ない。

だから、もっと頑張る。

それでも動かないから、相手にもっと強く伝える。

方法を変える。

また頑張る。

本人は、ものすごく動いています。

でも、ここで一つ問いかけてみてほしいのです。

「そもそも今、何が起きているんだろう?」

現実との接続が切れたままでは、どれだけ行動量を増やしても、なかなか結果にはつながりません。

車にたとえるなら、アクセルを一生懸命踏んでいるのに、その力がタイヤに伝わっていないようなものです。

そんなときに、

「もっとアクセルを踏め!」

と言っても、車は前には進みません。

必要なのは、もっと頑張ることではなく、

「どこでつながりが切れているんだろう?」

と見ることです。

組織にも「つながっていない場所」がある──

これは、一人の人間だけの話ではありません。

組織でも同じことが起きています。

経営者は伝えたつもりなのに、現場には届いていない。

上司と部下で、同じ言葉をまったく違う意味で受け取っている。

部署と部署の間で情報が止まっている。

会社の理念は掲げられているのに、日々の行動にはつながっていない。

小さな認識のズレが積み重なり、ある日トラブルとして表に出てくる。

そんなとき私たちは、

「誰が悪いのか」

「誰がちゃんとやっていなかったのか」

を探したくなります。

けれど、その前に見てみたいことがあります。

「この組織では、どこでつながりが切れていたのだろう?」

人の問題に見えていたものが、実は「つながり」の問題だった。

そんなことは、決して珍しくありません。

人がつながると、組織は動き出す──

経営者やリーダーが、すべての問題を解決する必要はありません。

人を無理に動かそうとする必要もありません。

大切なのは、起きていることを丁寧に見ながら、

「どことどこが、今つながっていないのか」

に気づくこと。

自分と自分。

自分と相手。

リーダーと現場。

部署と部署。

会社の思いと社員の理解。

意図と行動。

そして、行動と結果。

つながりが生まれると、人の動きが変わります。

人の動きが変わると、少しずつ組織も動き始めます。

だから私は、コミュニケーションを単なる「話し方」や「伝え方」ではなく、

人と人、人と現実、そして思いと行動を“つなげる力”

として捉えてみたいと思っています。

このシリーズでは、組織の中で起きるさまざまな出来事を、「つながり」という視点から一つずつ考えていきます。

まずは、うまくいかないことが起きたとき。

「もっと頑張らなければ」と考える前に、

「今、どこでつながりが切れているんだろう?」

そんな問いを持つところから始めてみませんか。

  • コミュニケーションは「話すこと」だけではない
  • 大切なのは、自分・相手・現実をつなげること
  • 組織の問題の裏には「つながっていない場所」が隠れていることがある
  • 誰かを責める前に、「どこで切れている?」と見てみる

人がつながると、組織は動き出す。
その最初の一歩は、「つながっていない場所」に気づくことなのだと思います。