結果とプロセス⑤
「私、営業が苦手なんです」
「人前で話すのが苦手で……」
「コミュニケーション能力がないのかもしれない」
何度かうまくいかないことが続くと、こんなふうに思ってしまうことはありませんか。
でも、本当に「能力」の問題なのでしょうか。
これまでこのシリーズでは、結果だけを見るのではなく、その手前にあるプロセスを見ることについて書いてきました。
実は「自分には能力がない」という結論も、プロセスを見ないまま、結果だけを見て出している可能性があります。
「できなかった」を大きなくくりにしない
たとえば、商談で契約につながらなかった。
そこで、
「私は営業が苦手」
と結論づけてしまう。
でも、プロセスを分けてみたらどうでしょう。
初対面で関係をつくることはできていた。
相手の話も聞けていた。
商品の説明もできていた。
でも、
相手の本当の困りごとまで聞けていなかった。
必要性を確認する前に提案していた。
最後の一歩を踏み込めなかった。
その後のフォローをしていなかった。
もしそうなら、
「営業ができない」のではなく、プロセスの一部分に課題がある
ということになります。
これなら、次に何をすればいいのかが見えてきます。
「話すのが苦手」も同じ
人前でうまく話せなかったときも、
「私は話すのが苦手」
で終わらせてしまうと、改善する場所が分かりません。
でも、
緊張して相手の反応を見る余裕がなかったのか。
次に何を話すか考えることに意識を取られていたのか。
時間が気になって、話すスピードが速くなったのか。
準備はしていたけれど、本番を想定した練習まではしていなかったのか。
こうして分けてみると、
「話す能力がない」という話とは、少し違って見えてきます。
必要なのは、
相手を見る練習かもしれない。
話す内容を整理することかもしれない。
あるいは、本番を想定したリハーサルかもしれません。
大きな言葉で決めてしまうと、改善点が見えなくなる
「営業力がない」
「コミュニケーション能力がない」
「リーダーシップがない」
こうした言葉は便利です。
一言で説明できるからです。
でも、便利な反面、
何ができていて、何ができていないのかを見えなくしてしまう
ことがあります。
「コミュニケーションが苦手」と言っても、
話すことが苦手なのか。
聞くことが苦手なのか。
相手の反応を見ることが苦手なのか。
意図を言葉にすることが苦手なのか。
認識をすり合わせることが苦手なのか。
それぞれ必要な対策は違います。
全部をまとめて、
「私はコミュニケーション能力がない」
としてしまったら、本当は変えられるところまで見えなくなってしまいます。
能力ではなく、「どこで止まっているか」を見る
もちろん、得意・不得意はあります。
経験の差もあります。
でも、結果が出なかったというだけで、自分の能力全体を評価する必要はありません。
それよりも、
「どのプロセスで止まっているのだろう?」
と見てみる。
できているところはどこか。
まだ経験が足りないところはどこか。
準備が必要なのはどこか。
練習すれば変えられるのはどこか。
こうして細かく見ていくと、
漠然とした「苦手」が、具体的な課題に変わります。
具体的な課題になれば、行動も具体的になります。
結果がうまくいかなかったとき、
「やっぱり私には向いていない」
と結論を出す前に、
その結果の手前で、何が起きていたのか。
一度、分解してみる。
できなかったことを見るためではなく、
次に変えられるところを見つけるために。
そこまで見えて初めて、
「では、次に何をする?」
という話ができます。
次回はシリーズ最終回。
「結果を変える人は『次の一手』を見ている」
について考えてみたいと思います。