結果とプロセス①
「頭では分かっているのに、本番になるとうまくできない」
そんな経験はありませんか?
営業でも、プレゼンでも、人前で話す場でも、普段なら言える短い言葉が飛んでしまったり、順番を間違えたり、相手の反応を見た瞬間に次に何を言えばいいのか分からなくなったりすることがあります。
私自身も、何度も練習して覚えたはずなのに、本番になると頭が真っ白になることがあります。
でも、これは単純に「覚えていないから」ではありません。
本番では、頭の中が一気に忙しくなる──
本番では、練習のときとは違って、いくつものことを同時に処理しています。
・緊張する
・相手の表情や反応を見る
・次に何を話すか考える
・時間を意識する
・失敗したくないと思う
外から見ると、ただ少し黙っているだけだったり、淡々としているように見えることもあります。
でも実際には、その短い時間の中で、
「今の反応はどうだったかな」
「次は何を言おう」
「この伝え方で大丈夫かな」
と、頭の中はかなり忙しく動いています。
だから、ほんの一言を返すだけなのに、思った以上に時間がかかることがあります。
端から見れば、
「なんでそんなに時間がかかるんだろう?」
と思うような場面でも、本人の中ではたくさんの処理が同時に起きているのです。
つまり、言葉がすぐに出ないからといって、何も考えていないわけではありません。
むしろ、考えることが多いからこそ、言葉になるまでにタイムラグが生まれることもあります。
できる人ほど準備している──
だからこそ、トップ営業マンほど、実はかなり準備をしています。
準備というと、
「話す内容を覚えること」
と思われがちですが、本当はそれだけではありません。
「この質問が来たら、どう返すか」
「相手の反応が薄かったら、何を聞くか」
「価格で迷っているようなら、何を確認するか」
そうやって、起こりそうな場面をあらかじめ想定しておくのです。
対応力というと、その場ですぐに気の利いたことを言える力のように思われるかもしれません。
でも実際には、
何を見るのか。
何を判断するのか。
どんな選択肢があるのか。
それを事前に知り、似た場面を経験しておくことで、少しずつ本番での対応力がついていきます。
リハーサルは「正解を覚える時間」ではない──
もちろん、想定したからといって必ずできるとは限りません。
実際にやってみると、
「思ったより言葉が出てこない」
「相手の反応に引っ張られてしまう」
「自分では気づいていなかったクセが出る」
ということがあります。
だから、リハーサルの意味は「正解を覚えること」ではありません。
やってみる。
できないところに気づく。
修正する。
もう一度やってみる。
この繰り返しです。
「分かっている」と「できる」の間には、思っている以上に距離があります。
その距離を埋めていくのが、実践であり、リハーサルなのだと思います。
準備がつくるのは「相手を見る余裕」──
準備は、失敗しないためだけにするものではありません。
私はむしろ、
本番で相手を見る余裕をつくるためのもの
だと思っています。
次に何を言うかだけで頭がいっぱいになっていたら、相手の表情や反応を見る余裕はありません。
でも、ある程度準備ができていれば、相手を見ることができます。
営業でも、講師でも、経営者でも、大切なのは「自分がうまく話すこと」ではなく、目の前の相手にどう関わるかです。
その余裕をつくるために、準備があります。
そしてリハーサルとは、
「できるつもり」を、「できる」に近づける時間。
なのだと思います。
できない自分を責める前に──
本番でうまくできなかったとき、私たちはつい、
「もっと頑張らなければ」
「自分はまだダメだ」
と思ってしまいます。
でも、本当に成長につながるのは、自分を責めることではありません。
「どこで言葉が止まったのか」
「そのとき何を考えていたのか」
「何に意識を奪われていたのか」
そうやって、自分の中で何が起きているのかを知ることです。
できなかった理由が分かれば、次に準備することも見えてきます。
準備とリハーサルは、失敗をなくすためだけにあるものではありません。
自分を知り、修正し、本番で相手を見る余裕をつくるためにあるのです。
そしてもうひとつ大切なのが、
自分ではできているつもりでも、外からは違って見えることがある
ということです。
次回は、「自分ではできているのに、なぜ評価が上がらないのか」という、自己評価と他者評価のズレについて考えてみたいと思います。
まとめ──
・本番では、頭の中で多くのことを同時に処理している
・言葉が出るまでのタイムラグには理由がある
・準備とは、話す内容を覚えることだけではない
・リハーサルは「できるつもり」を「できる」に近づける時間
・準備があるからこそ、本番で相手を見る余裕が生まれる
✨できない自分を責めるのではなく、「どこで何が起きているのか」を知る。そこから、本当の成長が始まります。