「発声もOK」
「滑舌もOK」
「話す構成も問題ない」
にもかかわらず、
なぜか“風”が動かない。
――話しているのに、相手に伝わらない。
それには、いくつかの深い理由があります。
① エネルギーが“その場”に届いていない
緊張していたり、初対面の大勢を前にすると、
本気の自分が引っ込み、声に“熱”や“意志”が乗らなくなることがあります。
すると、聞き手の心には、風ひとつ吹かない。
声はただの音ではなく、“あなたの存在”そのもの。
その場に、自分のエネルギーを放てているか。
ここが大きな分かれ道です。
② 「内耳」が未発達だと、“自分の声の外響”がわからない
音は、耳だけで聴くものではありません。
声とは、空気を震わせる“振動”。
本来は、身体全体で感じ取るものです。
ところが、自分の「内耳」――つまり、内なる聴覚感覚が未発達だと、
自分の声が口の中だけで“もごもご”していて、
外にどう響いているか、まったく判断できなくなります。
③ 「思い込み」や「先入観」が、声に滲む
「こんなこと言っていいのかな」
「ちゃんと聞いてくれるかな」
そうした不安や先入観は、無意識に声の出し方や話し方に現れます。
結果、言葉にブレーキがかかり、聞き手には曖昧な印象しか残りません。
④ “役割意識”が薄いと、存在感のある声は出ない
「なんとなく話す」
「このくらいでいいかな」というスタンスでは、
“あなたの役割”としての声は発揮されません。
あなたが「伝える責任」を持った立場であるなら、
その役割を背負った声で語る必要があります。
“声=あなたの立ち位置”が伝わってこそ、相手も受け取れるのです。
⑤ 空気を“読む力”が、伝達力を左右する
どれだけ良い声で話していても、
騒がしい空間・気の散った場・聞き手が受け取る準備ができていない状態では、
声は“音”として拾われても、意味までは届きません。
つまり、話し手には「空気を読む力」=
“聞く器”を作る空間設計能力も求められるのです。
◆まとめ:伝えるとは「声 × 状態 × 空間」
あなたの話が伝わらない理由は、技術的なものだけではありません。
- その場に本気の自分を“出して”いるか?
- 自分の声がどう“響いているか”感じ取れているか?
- 不安・思い込みが声を曇らせていないか?
- あなたはその場で“何者”として話しているか?
- 空間は“伝わる状態”になっているか?
この5つの視点を整えることで、
あなたの声はただの「発声」ではなく、**“伝わるエネルギー”**になります。