『伝わらないの正体を解き明かすシリーズ』

~5つの層から読み解くコミュニケーション~

「相手のためを思って言っているんです」

経営者やリーダーの方とお話をしていると、よく耳にする言葉です。

もちろん、それは嘘ではありません。

社員に成長してほしい。

失敗してほしくない。

幸せになってほしい。

その気持ちは本物です。

しかし、関わりがうまくいかないとき、その言葉の奥に別の感情が隠れていることがあります。

それが「不安」です。

例えば、

何度も確認をしてしまう。

つい口を出してしまう。

任せたはずなのに気になってしまう。

そんな経験はないでしょうか。

本人は、

「相手のため」

と思っています。

けれど少し立ち止まって考えてみると、

「失敗されたら困る」

「お客様に迷惑がかかるかもしれない」

「自分の責任になるかもしれない」

そんな不安が隠れていることがあります。

もちろん、不安を感じることは悪いことではありません。

経営者であればなおさらです。

会社を守る責任があります。

社員の生活も背負っています。

だからこそ慎重になるのは自然なことです。

ただ、その不安が強くなりすぎると、相手を信じることが難しくなります。

任せたつもりでも、途中で口を出す。

考えさせる前に答えを教える。

失敗しないように先回りする。

すると相手は、

「どうせ任せてもらえない」

「自分で考えなくてもいい」

と感じるようになります。

結果として、自主性や成長の機会を奪ってしまうこともあるのです。

私はこれまで多くの経営者の方と関わる中で、

本当の意味で人を育てる方ほど、「待つ」ことができると感じています。

もちろん何もしないわけではありません。

見守る。

信じる。

必要な時に支える。

その姿勢を持っています。

それは相手を放置することではなく、相手の可能性を信じるということです。

私たちは時々、

「相手のため」

という言葉の中に、自分の不安を隠してしまいます。

だからこそ、

「これは本当に相手のためだろうか」

それとも、

「自分の不安を解消したいだけだろうか」

と問いかけてみることが大切です。

その問いが、自分自身との向き合いにつながります。

そして、人との関わり方を大きく変えていきます。

次回はいよいよ最終回。

「伝え方OSとは何か ~5つの層から見るコミュニケーション~」

これまでお伝えしてきた内容を振り返りながら、コミュニケーションを5つの層で見ていく意味についてお話しします。


まとめ

  • 「相手のため」の奥に自分の不安が隠れていることがある
  • 不安が強いと相手をコントロールしたくなる
  • 過度な関わりは成長の機会を奪うこともある
  • 信じて待つことも大切な関わり方の一つ
  • 自分の不安に気づくことが関係性を変える第一歩

✨相手を信じることは、実は自分の不安と向き合うことなのかもしれません。