『伝わらないの正体を解き明かすシリーズ』⑥
~5つの層から読み解くコミュニケーション~
「相手のためを思って言っているんです」
経営者やリーダーの方とお話をしていると、よく耳にする言葉です。
もちろん、それは嘘ではありません。
社員に成長してほしい。
失敗してほしくない。
幸せになってほしい。
その気持ちは本物です。
しかし、関わりがうまくいかないとき、その言葉の奥に別の感情が隠れていることがあります。
それが「不安」です。
例えば、
何度も確認をしてしまう。
つい口を出してしまう。
任せたはずなのに気になってしまう。
そんな経験はないでしょうか。
本人は、
「相手のため」
と思っています。
けれど少し立ち止まって考えてみると、
「失敗されたら困る」
「お客様に迷惑がかかるかもしれない」
「自分の責任になるかもしれない」
そんな不安が隠れていることがあります。
もちろん、不安を感じることは悪いことではありません。
経営者であればなおさらです。
会社を守る責任があります。
社員の生活も背負っています。
だからこそ慎重になるのは自然なことです。
ただ、その不安が強くなりすぎると、相手を信じることが難しくなります。
任せたつもりでも、途中で口を出す。
考えさせる前に答えを教える。
失敗しないように先回りする。
すると相手は、
「どうせ任せてもらえない」
「自分で考えなくてもいい」
と感じるようになります。
結果として、自主性や成長の機会を奪ってしまうこともあるのです。
私はこれまで多くの経営者の方と関わる中で、
本当の意味で人を育てる方ほど、「待つ」ことができると感じています。
もちろん何もしないわけではありません。
見守る。
信じる。
必要な時に支える。
その姿勢を持っています。
それは相手を放置することではなく、相手の可能性を信じるということです。
私たちは時々、
「相手のため」
という言葉の中に、自分の不安を隠してしまいます。
だからこそ、
「これは本当に相手のためだろうか」
それとも、
「自分の不安を解消したいだけだろうか」
と問いかけてみることが大切です。
その問いが、自分自身との向き合いにつながります。
そして、人との関わり方を大きく変えていきます。
次回はいよいよ最終回。
「伝え方OSとは何か ~5つの層から見るコミュニケーション~」
これまでお伝えしてきた内容を振り返りながら、コミュニケーションを5つの層で見ていく意味についてお話しします。
まとめ
- 「相手のため」の奥に自分の不安が隠れていることがある
- 不安が強いと相手をコントロールしたくなる
- 過度な関わりは成長の機会を奪うこともある
- 信じて待つことも大切な関わり方の一つ
- 自分の不安に気づくことが関係性を変える第一歩
✨相手を信じることは、実は自分の不安と向き合うことなのかもしれません。