「視点を変えたら?」と言われても、なぜ私たちは変われないのか
「もっと視点を変えたらいいよ」
「考え方を変えれば楽になるよ」
よく聞くフレーズですが、経営の現場でも人材育成の場でも、
『本当に視点が変わった人』は驚くほど少ないように感じます。
「わかっているのに直せない」
「同じ人間関係の悩みを繰り返す」
「怒り・落ち込み・不安が、いつも同じパターンでやってくる」
こうした現象はすべて、
視点が変わっていない証拠 なのです。
視点が変わらない理由──多くの人が「視点=気づき」と勘違いしているから
結論から言うと、
ほとんどの人が“視点を変える”ということを 気づきの延長 で捉えてしまっています。
「そうか、こう考えればいいのか」
「これが問題だったんだな」
と理解できた瞬間、視点が変わったように錯覚します。
しかし本当は、
気づきは概念でしかなく、OS(価値観)が変わらない限り視点は変わらない のです。
たとえるなら、
表面のアプリだけ更新しても、スマホのOSが古ければ動作は変わりません。
中身の仕組みが変わらないまま「見方」だけ変えようとしても、必ず元に戻るのです。
本当の視点の変化は“肚落ち”から生まれる
では、視点が変わる瞬間とはどんな時でしょうか。
それは、
自分の価値観や思い込みが書き換わり、「あ、そういうことか」と身体で理解できた瞬間。
これが“肚落ち”です。
肚落ちは、
・気づき
・理解
・納得
とはまったく違います。
肚落ちすると、同じ出来事に対して
怒りや不安が湧いてこなくなったり、
繰り返していたパターンから自然に離れられたりします。
つまり、
視点の変化とは「努力」ではなく、価値観が書き換わった結果として起きる自然現象 なのです。
なぜ95%の人が視点を変えられないのか
理由はシンプルです。
視点が“結果”であることを知らず、
気づきだけで何とかしようとしているからです。
気づきは一瞬で起きますが、
価値観(OS)は一瞬では変わりません。
だから、
『視点が戻る』 『同じ悩みを繰り返す』『行動が続かない』
という現象が起き続けます。
どれもあなたが悪いのではありません。
ただ、やり方が違っていただけなのです。
経営者・講師として大切な視点──「視点を変えさせよう」としないこと
人を育てる立場にいると、
つい“視点を変えてあげたい”と思ってしまいがちです。
しかし、視点は『与えられるもの』でも『教え込むもの』でもありません。
大切なのは、
相手の価値観に触れ、そのOSが整う環境をつくること。
視点を変えようとするのではなく、
視点が変わる土台を整える。
これが、育成の本質です。
まとめ
- 視点は気づきでは変わらない
- 視点は価値観(OS)の上に乗る“結果”である
- 真の変化は“肚落ち”によって起きる
- 行動・反応が変わらないのは、OSが変わっていないだけ
- 育成の鍵は“視点を変えさせる”ことではなく、土台を整えること
✨視点とは、努力で変えるものではなく
価値観が整ったときに自然に変わるもの です。