結果とプロセス③

「ちゃんと説明しました」
「相手の話も聞きました」
「何度か連絡もしています」

それなのに、なぜか思うような結果につながらない。

そんなことはありませんか。

前回は、結果だけを見るのではなく、その手前にあるプロセスを見ることについて書きました。

ところが、プロセスを振り返るときにも、一つ難しいことがあります。

それが、

「やったつもり」になっていないか

ということです。

「やった」と「できていた」は同じではない

たとえば営業で、

「お客様の話を聞きました」

と言っていても、

実際には、自分が聞きたいことだけを質問していたかもしれません。

「説明しました」

と言っていても、

自分が伝えたいことを話しただけで、相手が理解できたかどうかまでは確認していなかったかもしれません。

「フォローしました」

と言っていても、

一度メッセージを送って、返事がないまま終わっていることもあります。

もちろん、本人としてはやっています。

だから嘘をついているわけでも、怠けているわけでもありません。

ただ、

自分が「やった」と認識していることと、実際に相手との間で起きていることには、ズレが生まれることがあるのです。

自分の行動は、意外と自分では見えない

私たちは、自分の行動を自分の視点から見ています。

「丁寧に説明した」
「ちゃんと伝えた」
「相手のことを考えた」

そこには、自分なりの意図があります。

ところが相手から見れば、

「説明が長くて、何が重要なのか分からなかった」
「こちらの話を聞く前に提案された」
「返事を急かされているように感じた」

ということもあります。

つまり、

自分が何をしたつもりなのかと、相手に何が届いたのかは別の話です。

ここを混同すると、

「私はちゃんとやっているのに、なぜうまくいかないの?」

というところで止まってしまいます。

「やったか」ではなく「何が起きたか」を見る

では、どう振り返ればいいのでしょうか。

大切なのは、

「私はやった」

という自分の評価だけで終わらせず、

実際に何をして、そのとき相手にどんな反応があったのか

まで見ることです。

たとえば、

「話を聞いた」ではなく、
「何を質問し、相手は何と答えたのか」

「説明した」ではなく、
「何を伝え、相手はどう受け取っていたのか」

「フォローした」ではなく、
「いつ、何を送り、その後どうなったのか」

ここまで具体的にすると、プロセスが見えてきます。

すると、

「やった・やっていない」

という話ではなく、

「どこまでできていて、どこを変えればいいのか」

を考えられるようになります。

自己認識は、自分を責めるためではない

こうして自分の行動と実際に起きたことのズレを見るのが、自己認識の一つでもあります。

自己認識というと、

「自分の性格を分析すること」

と思われることがありますが、それだけではありません。

自分が何を考え、どう判断し、どう行動しているのか。

そして、それによって実際に何が起きているのか。

そこを客観的に見られるようになることです。

自分では見えていなかったプロセスに気づけば、次は選び直すことができます。

「もっと頑張る」ではなく、

「次は、相手の話をもう一つ聞いてみよう」
「説明した後に、どう受け取ったか確認してみよう」
「一度で終わらせず、タイミングを見てもう一度連絡してみよう」

と、具体的な行動に変えられます。

結果を変えるために必要なのは、

自分を責めることでも、
「もっと頑張らなければ」と追い込むことでもありません。

自分がやったと思っていることと、実際に起きていることを、一度分けて見てみる。

そこに、次の一手が隠れていることがあります。

そして、この「やったつもり」は営業だけで起きることではありません。

「ちゃんと伝えたのに、分かってくれない」
「お願いしたのに、動いてくれない」

コミュニケーションの中でも、同じことが起きています。

次回は、

「伝わらない」ときこそ、コミュニケーションのプロセスを見る

について考えてみたいと思います。