伝達力は、自分との対話から始まる

「私には向いていません。」

「どうせ、うまくいかないと思います。」

研修やコーチングの場で、このような言葉を耳にすることがあります。

もちろん、その方なりの経験があって口にされている言葉です。

だからこそ、私はすぐに「そんなことはありませんよ」とは言いません。

代わりに、こんな問いを投げかけることがあります。

「その思い込みは、いつ生まれましたか。」

すると、多くの方が少し考え込みます。

「そういえば、子どもの頃に先生から言われた一言だったかもしれない。」

「以前、大きな失敗をしたときからかもしれない。」

「気づけば、ずっとそう思っていました。」

そんなふうに、ご自身の中をゆっくり振り返り始めるのです。

私たちは、長い時間をかけて身につけた考え方を、「これが自分だ」と思い込んでいることがあります。

でも、その思い込みは、本当に今の自分にも必要なものでしょうか。

過去の出来事から生まれた考えが、今の可能性まで決めてしまうとしたら、とてももったいないことです。

だからといって、無理に思い込みを変える必要はありません。

まずは、その存在に気づくこと。

そして、「いつからそう思うようになったのだろう」と、自分に問いかけてみること。

それだけでも、心の景色は少しずつ変わり始めます。

自己会議とは、自分を否定する時間ではありません。

自分を理解するための時間です。

思い込みを手放すことが目的ではなく、自分を知ることが目的。

そう考えると、少し肩の力が抜けるような気がしませんか。

今日、あなたが当たり前だと思っていることの中にも、長い時間をかけて育まれてきた考え方があるかもしれません。

それは、これまでの自分を守るために必要だったものなのかもしれません。

だから、無理に否定する必要はありません。

ただ、一度立ち止まって、自分に問いかけてみてください。

「今の私にも、この考え方は必要だろうか。」

そして、もう一つ。

「その思い込みは、いつ生まれましたか。」

その問いが、あなたの自己会議を少しだけ豊かにしてくれるかもしれません。