Season 1

~言葉より先にある「心のOS」の話~ ≪伝わる力は、己を知り、整えることから

「どうして、あの人はあんなに頑固なんだろう。」

そう感じたことはありませんか?

仕事でも家庭でも、「何を言っても聞いてくれない」「自分の考えを変えようとしない」と感じる相手に出会うことがあります。

でも、本当にその人は「頑固な人」なのでしょうか。

私は、少し違う見方をしています。

頑固なのではなく、自分の前提しか見えなくなっている状態なのかもしれません。

私たちは誰でも、自分の経験や価値観、そして「当たり前」をもとに物事を判断しています。

その前提が強く働くと、「自分は正しい」という気持ちが大きくなります。

すると、相手の話を聞いているつもりでも、実際には自分の考えを証明する材料ばかりを探してしまいます。

その結果、

「違う、それはこうだよ。」

「いや、普通はそうでしょう。」

「それは間違っている。」

というように、対話ではなく説得になっていきます。

さらに説得が続くと、相手も「自分は正しい」と感じ始めます。

すると、お互いが自分の正しさを主張し合い、話し合いは平行線になってしまいます。

実は、この状態は誰にでも起こり得ます。

経営者だから、部下だから、夫婦だからということではありません。

自分では気づかないうちに、自分の前提だけで相手を見てしまうことは、誰にでもあるのです。

だからこそ大切なのは、「私は正しいか」ではなく、

「私はどんな前提で、この出来事を見ているのだろう。」

と、自分自身に問いかけることです。

その問いが生まれると、相手を否定する前に、新しい見方や選択肢が少しずつ増えていきます。

コミュニケーションとは、相手を言い負かすことではありません。

互いの違いを理解し、より良い答えを見つけるためのものです。

その第一歩は、自分の前提に気づくこと。

頑固さを手放すことではなく、視野を広げることなのかもしれません。

次回は、「争いはどこから生まれるのか」をテーマに、対立が起こる本当の理由についてお話しします。