~あなたは、あなたを認識している?第1回~
「今度は言い過ぎないようにしよう」
「もっと落ち着いて話を聞こう」
「嫌なことは、きちんと断ろう」
そう思っていたはずなのに、実際にその場になると、また同じことをしてしまう。
そんな経験はありませんか?
そんなつもりではなかったのに、つい強く言ってしまった。
相手に合わせすぎて、本当に言いたかったことを飲み込んでしまった。
誤解されたくなくて説明を重ね、かえって相手を疲れさせてしまった。
そして後になって、
「またやってしまった」
と落ち込む。
けれど、こうした反応は、単純に「性格だから」「意志が弱いから」で片づけられるものではありません。
「またやってしまう」には理由がある──反応には習慣があります
私たちは、何かが起きるたびに、毎回ゼロから考えて反応しているわけではありません。
これまでの経験や価値観、思い込み、感情の動きなどをもとに、
「こういうときは、こうする」
という反応のパターンを少しずつ身につけています。
たとえば、相手の表情が曇っただけで、
「怒らせてしまったかもしれない」
と感じる人もいれば、
「何か困っているのかな」
と感じる人もいます。
起きている出来事は同じでも、その受け取り方は人によって違います。
そして、その受け取り方によって、その後の言葉や行動も変わっていきます。
つまり、私たちは出来事そのものに反応しているというより、自分がその出来事をどう受け取ったかに反応しているのです。
「次は気をつけよう」だけでは変わらない──まず自分を知ること
だからこそ、
「次は気をつけよう」
「もう怒らないようにしよう」
「今度こそ断ろう」
と決めるだけでは、なかなか変化が続きません。
大切なのは、反応そのものを無理に抑え込むことではなく、
自分がどんな場面で、何を感じ、何を受け取り、どう反応しているのかを知ること。
これが「自己認識」です。
自己認識というと、自分を細かく分析したり、自分の欠点を探したりすることのように感じるかもしれません。
でも、本来はそうではありません。
たとえば、いつもなら強く言い返してしまう場面で、
「私は今、何に反応したのだろう?」
と少し立ち止まってみる。
すると、
「否定されたように感じて、怖かったのかもしれない」
「分かってもらえないことに焦っていたのかもしれない」
と、自分の内側が少し見えてきます。
そこに気づけると、初めて別の選択肢が生まれます。
無意識の反応から、自分で選ぶ反応へ
変化の第一歩は、完璧に行動を変えることではありません。
まずは、
- どんな場面で反応しやすいのか
- そのとき何を感じているのか
- 相手の言葉をどう受け取ったのか
- 本当は何を伝えたかったのか
を、自分で見つけていくことです。
反応する前に、ほんの少しでも間ができるようになると、
「いつものように言い返す?」
「少し聞いてみる?」
「今は答えを出さない?」
と、自分で選ぶ余地が生まれます。
この「選べる」という感覚こそが、変化につながっていきます。
経営者やリーダーこそ──自分の反応を知ることが大切です
これは、経営者やリーダーにとっても、とても大切なことです。
社員の話を聞いている途中で、つい答えを言ってしまう。
任せたはずなのに、途中で口を出してしまう。
結果が心配になり、細かく確認してしまう。
そこには、相手の問題だけではなく、自分自身の不安や「こうあるべき」という思いが隠れていることがあります。
相手を変えようとする前に、自分の反応に気づく。
それだけでも、関わり方は少しずつ変わっていきます。
まとめ──変化は、自分の反応に気づくところから始まる
- 「またやってしまう」のは、性格だけが原因ではありません
- 私たちには、無意識に繰り返している「反応の習慣」があります
- 変えようとする前に、まず自分の受け取り方や反応を知ることが大切です
- 自分の反応に気づくことで、「いつもの反応」以外を選べるようになります
自己認識とは、自分を責めるためのものではありません。
無意識に反応する自分から、自分で選択できる自分へ変わっていくための第一歩です。
「またやってしまった」と気づいたその瞬間も、実は変化の始まりなのかもしれません。