『分かっている』を『できるに変える』シリーズ②

前回は、「頭では分かっているのに、本番になるとうまくできない」というテーマで、準備とリハーサルの大切さについて書きました。

本番では、相手の反応を見たり、次に何を話すか考えたり、時間を意識したりと、頭の中ではたくさんのことが同時に起きています。

だからこそ、準備やリハーサルが必要になります。

でも、もうひとつ大切なことがあります。

それは、

「自分ではできているつもり」と「周囲からどう見えているか」は、必ずしも同じではない

ということです。

自分の評価と、相手の評価は違う──

本人は、

「ちゃんと話せた」
「伝えるべきことは伝えた」
「内容は間違っていない」

と思っているかもしれません。

けれど、聞いている側から見ると、

・言葉が出るまでに時間がかかる
・台本を読むことに精いっぱいになっている
・相手を見ていない
・声に抑揚がなく、内容が入ってこない
・質問されると急に言葉が止まる

そんなふうに見えていることがあります。

ここに、自己評価と他者評価のズレが生まれます。

本人にとっては「できた」。

でも、相手にとっては「伝わらなかった」。

この違いは、とても大きいのです。

経営者は「話している姿」も見られている──

特に経営者やリーダーは、話す内容だけで評価されているわけではありません。

人前でどう話すのか。

質問にどう答えるのか。

相手を見ているのか。

自分の言葉で話しているのか。

そうした姿そのものが、その人や会社への印象につながります。

どれだけ実績があっても、どれだけ知識があっても、人前に立ったときに「伝わらない」状態であれば、相手の中では評価が下がってしまうことがあります。

これは厳しい話に聞こえるかもしれません。

でも、逆に言えば、

自分がどう見えているかを知ることができれば、改善できる

ということでもあります。

「できているつもり」に気づくこと──

私たちは、自分自身のことを意外と客観的には見られません。

話している最中は、

「次は何を言うか」
「間違えないようにしよう」
「ちゃんと最後まで話そう」

と、自分の内側に意識が向いています。

だから、

声の大きさはどうだったのか。
表情はどうだったのか。
間は長すぎなかったのか。
相手を見ていたのか。

そこまで自分では分からないことがあります。

だからこそ、録画して見る、第三者からフィードバックをもらう、リハーサルをする、といったことが大切になります。

自分では「普通に話していた」と思っていても、映像を見ると、

「こんなに下を向いていたんだ」

「こんなに間が長かったんだ」

「思ったより声が小さい」

と気づくことがあります。

この気づきが、自己認識です。

自己認識は、自分を責めるためのものではない──

自己認識というと、

「自分の悪いところを見つけること」

のように感じる人もいるかもしれません。

でも、私はそうではないと思っています。

自分を責めるためではなく、

自分の現在地を知るためのもの

です。

どこで止まるのか。

何が苦手なのか。

どういう場面で余裕がなくなるのか。

そこが分かれば、準備することも、練習することも変わります。

逆に、自分では「できている」と思い続けている限り、改善のきっかけは生まれません。

だから成長の第一歩は、

「私はできている」

ではなく、

「相手にはどう見えているんだろう?」

と考えてみることなのだと思います。

経営者・講師こそ、フィードバックを受け取る──

人に教える立場、指導する立場、経営する立場になるほど、周囲から指摘される機会は少なくなります。

だからこそ、自分からフィードバックを取りにいく姿勢が必要です。

「今日の話、どう聞こえた?」

「分かりにくいところはなかった?」

「私の話し方、どうだった?」

そんな問いを持つことは、決して自信がないということではありません。

むしろ、自分を客観的に見る力があるということです。

自分の評価だけで完結しない。

相手からどう見えているかまで含めて、自分を知る。

それが、経営者やリーダーにとって、とても大切な自己認識なのではないでしょうか。

まとめ──

・「自分ではできている」と「相手に伝わっている」は別
・人は自分の話し方を意外と客観視できない
・経営者やリーダーは、話す姿そのものも評価されている
・録画やフィードバックによって、自分の見え方を知ることができる
・自己認識は、自分を責めるためではなく、現在地を知るためのもの

✨成長は、「できているつもり」を手放して、「相手にはどう見えているだろう」と問い直すところから始まります。