『伝わらないの正体を解き明かすシリーズ』②
~5つの層から読み解くコミュニケーション~
「なぜそんな判断をしたのだろう」
社員や部下の行動を見て、そう感じたことはありませんか。
経営者やリーダーの立場になると、自分には見えていることが相手には見えていないと感じる場面があります。
しかし、それは相手が間違っているからではありません。
人は誰もが、自分に見えている範囲の中で判断しているのです。
前回の記事では、私たちは事実そのものではなく、自分の認識を通して世界を見ていることをお伝えしました。
今回は、その認識がどのようにつくられているのかを考えてみたいと思います。
例えば、経営者は日々、売上や利益、資金繰り、採用、将来の経営計画など、さまざまな情報を見ています。
一方で社員は、自分の担当業務や目の前のお客様とのやり取りを中心に見ています。
当然ながら、見えている範囲は違います。
すると同じ出来事が起きても、判断が変わります。
経営者は、
「今は将来のために投資が必要だ」
と考えていても、
社員は、
「なぜそこにお金を使うのだろう」
と感じるかもしれません。
どちらが正しいという話ではありません。
見えている景色が違うのです。
私たちは、自分に見えている範囲を世界のすべてだと思いがちです。
だから、
「なぜ分からないのだろう」
「なぜそんな考え方になるのだろう」
と思ってしまいます。
しかし相手には相手の見えている世界があります。
そして、その世界の中では、その判断が自然なことも少なくありません。
私は組織づくりの現場で、
「相手を理解したい」
と思ったときに大切なのは、
「何を考えているのか」
よりも、
「何が見えているのか」
を知ることだと感じています。
見えている情報が変われば、判断も変わります。
見える範囲が広がれば、行動も変わります。
だからこそ、コミュニケーションとは説得することではなく、見えている世界を共有することなのかもしれません。
経営者は経営者の景色を持っています。
社員は社員の景色を持っています。
その違いを理解することで、
「なぜ伝わらないのか」
ではなく、
「何が見えていないのだろう」
という視点が生まれます。
その視点が、組織の対話を大きく変えていくのです。
次回は、
「選択権はいつも自分にある」
についてお伝えします。
見えている世界に対して、私たちはどのように反応し、行動を選んでいるのか。
その仕組みを一緒に考えていきましょう。
まとめ
- 人は見えている範囲の中で判断している
- 同じ出来事でも立場によって見える景色は違う
- 判断の違いは能力ではなく情報量や視点の違いから生まれる
- 相手を理解するには「何を考えているか」より「何が見えているか」を知ることが大切
- 見える範囲が広がると行動も変わる
✨人を理解するとは、その人の見ている景色を知ろうとすることなのかもしれません。