人と話すとき、私たちは「対話」をしているつもりでいて、実は「排出」に終わっていることが少なくありません。

■ 対話とは

対話とは、聞く相手がいて、相手にも「聞く用意」がある状態。言葉が行き来し、相手の反応にこちらも応じながら、関係性の中で言葉が交わされるプロセスです。

対話では、ただ言葉を放つのではなく、相手に「届ける」意識がある。そこには思いやりも、尊重も、時に沈黙すらも含まれます。

■ 排出とは

一方で「排出」は、言葉をただ吐き出す行為です。相手が聞く準備があるかどうかもお構いなし。自分の感情や思考を一方的にぶつける。

それは、目の前の人の存在を無視することにもなり、どれだけ強い思いを語ったとしても、相手には届かないのです。むしろ、無神経さや自己中心性だけが印象に残ることも。

■ 聞かれることで癒される

人は「聞かれる」ことで癒されます。

「それはどうだったの?」
「今、どんな気持ち?」

そんな一言が、心の詰まりを解き、自己理解を深める助けになります。

けれど、聞かれていないのに話し始めると、それはただの「押しつけ」になりかねません。

■ 無関心の上に、無作法な感情の放出は毒になる

相手に聞く姿勢がなければ、それは「無関心」の表れでもあります。

そこに対して、自分の感情を無作法に吐き出すというのは、心理的な暴力に近いもの。まるで、準備のない相手に熱湯をかけるようなものです。

誰もが心を持ち、傷つく可能性がある。その前提を忘れてはいけません。


● まとめ:伝えたいなら、まず「対話」にする

  • 「伝えたい」想いがあるなら、「届く」形を整えることが大切。
  • そのためには、相手の準備気持ちへの配慮が欠かせません。
  • 「排出」はスッキリしても、相手との関係を壊すことがあります。
  • 「対話」は、お互いの関係を深め、癒しすらも生み出します。

言葉には力があります。だからこそ、「届け方」に、もっと意識を向けてみませんか?