「社員がなかなか変わらない」
「同じことを繰り返し注意しても改善されない」
経営者なら誰もが抱える悩みです。
前回の記事では“固定概念や観念が壁になる”とお伝えしました。
今回はさらに深いレベル──脳の仕組みそのものが「変われない」方向に働いていることを解説します。
1. コントロール欲求
人間は本能的に「自分や他人をコントロールしたい」と思います。
例えば「社員を思い通りに動かしたい」「自分の段取り通りに進めたい」という欲求です。
しかし、このコントロール欲求が強いほど、現実がその通りに進まない時にストレスとなり、結果として「変わる」どころか「固執」が強まります。
2. 他責思考
人間の脳は「不快や失敗の原因を自分の外に置く」傾向があります。
「部下が動かないから成果が出ない」
「環境が悪いから仕方ない」
といった発想です。
他責思考は一時的には心を守りますが、責任を外に置く限り、自分が変わる必要はなくなります。これが「変わらない人」の典型的な特徴です。
3. 影響欲求
人は「他人に影響を与えたい」という欲求を持っています。 承認欲求や自己顕示欲もこの一部です。この欲求が「自分は正しい」という観念と結びつくと、 部下に自分のやり方を強要し、自分は変わらない──という状態が固定化されてしまいます。
また逆に、「いいよいいよ」と曖昧に肯定することで、 本来すべき注意や指導を避けてしまうケースもあります。 それもまた、影響力を保ちたいという欲求の裏返しです。
影響欲求は「押しつけ」にも「迎合」にも働く── この両面を理解することが、関係性の質を高める第一歩です。
経営者に必要な視点
この3つは「弱さ」ではなく脳の仕組みです。
だから社員が変わらないのは、能力不足でも怠慢でもなく、「人間のOS」に組み込まれた自然な反応なのです。
経営者に求められるのは、社員を責めることではなく、
気づきを促す問いかけ
行動を仕組みに落とし込む
続けるための環境を整える
ことです。
人間の脳が持つクセを前提にしなければ、どんなに気づきを与えても、変化は長続きしません。
まとめ
脳には「変わらない」方向に働く3つのクセがある
1. コントロール欲求
2. 他責思考
3. 影響欲求
これらは能力不足ではなく、人間の本能的な仕組み
経営者の役割は「クセを前提に仕組みを作る」こと
その壁を理解し、仕組みで突破させるのが経営者のリーダーシップなのです。
✨人は変わらないのではなく、「変わりにくい仕組み」を抱えているだけです。
その壁を理解し、仕組みで突破させるのが経営者のリーダーシップなのです。
次回予告
次回は、いよいよ 「気づき→実行→実践し続ける」 という“変化の3段階”について解説します。
多くの社員が「気づき」で止まり、「実行」で挫折してしまう現実。
では、どうすれば「結果が出るまで実践し続ける人」に変われるのか?
その仕組みと経営者の関わり方について、お伝えします。