「自己認識と経営」シリーズ②
経営とは、毎日のように判断を求められる仕事です。
採用するかしないか。
任せるか任せないか。
投資するか見送るか。
続けるか撤退するか。
経営者は常に選択の連続の中にいます。
だからこそ、多くの方は経営スキルや知識を学び、より良い判断をしようと努力されています。
もちろん、それはとても大切なことです。
しかし、どれだけ知識を身につけても、判断をしているのは「人」です。
そして、その人の判断には無意識の反応が大きく影響していることがあります。
判断をしているつもりが、反応しているだけかもしれない
私たちは普段、自分の意思で決めていると思っています。
けれど実際には、過去の経験や感情、思い込みによって反応していることが少なくありません。
例えば、
資金に余裕があるにもかかわらず、なかなか投資に踏み切れない。
人に任せた方が良いと分かっていても、つい自分で抱え込んでしまう。
明らかに改善が必要な問題があるのに、対応を先送りしてしまう。
その背景には、経営上の合理的な判断だけではなく、自分自身の反応のクセが隠れていることがあります。
経営に影響を与える代表的な反応パターン
経営者の方々と関わる中で、よく見かける反応パターンがあります。
不安が強いと守りに入りすぎる
将来への不安が強いと、必要以上にリスクを避けるようになります。
本来であれば成長のために必要な投資であっても、「もし失敗したら」と考え、動けなくなってしまいます。
慎重さは大切ですが、不安が判断を支配すると機会を逃してしまうことがあります。
承認されたい気持ちが判断を曇らせる
人から良く思われたい。
評価されたい。
その気持ちは誰にでもあります。
しかし、それが強くなりすぎると、本来の経営判断よりも周囲の目を優先してしまうことがあります。
利益につながらない付き合いを断れない。
必要以上に相手の期待に応えようとする。
その結果、本来向かうべき方向からズレてしまうこともあります。
正しさへのこだわりが人を育てなくする
責任感の強い経営者ほど、「正しくありたい」という思いを持っています。
しかし、自分の正しさに強くこだわると、人の成長を待てなくなることがあります。
自分ならもっと早くできる。
自分ならそうはしない。
そう思うほど、つい口を出してしまう。
すると、社員は自ら考える機会を失い、結果として育ちにくくなります。
嫌われたくない気持ちが問題を長引かせる
本当は向き合わなければならない問題がある。
けれど、相手との関係が悪くなることを恐れて言えない。
そんな経験はないでしょうか。
問題そのものよりも、「嫌われたくない」という感情が判断を遅らせてしまうことがあります。
反応に気づくことが自己認識の始まり
大切なのは、不安や承認欲求が悪いということではありません。
誰にでもある自然な感情です。
問題なのは、それに気づかないまま経営判断をしてしまうことです。
「自分は今、不安から判断しているのかもしれない」
「認められたい気持ちが強くなっているかもしれない」
そうやって一歩引いて自分を見られるようになると、反応と判断を切り分けられるようになります。
これが自己認識です。
そして自己認識が深まるほど、経営者は感情に振り回されるのではなく、自らの意思で選択できるようになっていきます。
経営者・リーダーへのメッセージ──まず自分の反応を知る
組織の課題を見るとき、多くの人は外側に原因を探します。
社員の問題。
市場の問題。
環境の問題。
もちろん、それらも存在します。
しかし、経営者自身の反応パターンが、知らず知らずのうちに組織へ影響を与えていることも少なくありません。
だからこそ、自分自身を知ることは経営者にとって大切な仕事のひとつなのです。
まとめ
- 経営は選択の連続である
- その選択には無意識の反応パターンが影響している
- 不安、承認欲求、正しさへのこだわりなどが判断を曇らせることがある
- 自己認識が深まることで反応と判断を切り分けられるようになる
✨より良い経営判断は、より多くの知識から生まれるだけではありません。自分自身の反応のクセを知ることから始まるのです。