──クレームの構造を理解すると、仕事の質が変わる②
「なぜ、あの人にはクレームが少ないのだろう」
同じ商品を扱い、同じサービスを提供し、同じ環境で働いているのに、なぜかクレームが少ない人がいます。
一方で、いつも何かしらトラブルになってしまう人もいます。
この違いは、経験年数でしょうか。
話し方の上手さでしょうか。
それとも、性格の違いでしょうか。
私は多くの現場を見てきて、はっきり感じることがあります。
クレームを受ける人と受けない人の差は、能力ではありません。
その差は、「気づく力」にあります。
仕事ができる人ほど、説明力や知識、スピードに意識が向きがちです。
もちろんそれも大切です。
ですが、お客様が本当に見ているのは、そこだけではありません。
実は多くのクレームは、商品やサービスそのものよりも、
「わかってもらえなかった」
「気持ちを汲んでもらえなかった」
「大切に扱われていない気がした」
そんな感情から生まれています。
つまりクレームが少ない人は、仕事が上手いのではなく、
相手の小さな変化に気づいている人なのです。
例えば、
- 表情が少し曇った
- 返事のトーンが変わった
- 相づちが減った
- 笑顔が消えた
- 言葉数が少なくなった
こうした小さな変化は、すべてサインです。
でも、多くの人はここを見落とします。
なぜなら、自分のことで頭がいっぱいだからです。
- 次の仕事が気になる
- ミスしないことに意識が向く
- 正しく説明することに集中する
すると、目の前の相手より、自分の仕事に意識が向いてしまいます。
一方で、クレームが少ない人は違います。
相手の表情を見ています。
空気を感じています。
言葉にならない違和感を拾っています。
つまり、見ているのは“仕事”ではなく、人なのです。
ここに、決定的な差があります。
クレームは突然起きるように見えますが、実際にはその前に必ずサインがあります。
そのサインに気づける人は、問題が大きくなる前に対応できます。
だからクレームになりにくいのです。
経営者も、リーダーも、講師も同じです。
人を育てたいなら、まず教える前に「見る力」を育てること。
知識や技術の前に、
相手の変化に気づける感性こそ、信頼をつくる土台になります。