「人を扱うのは本当に難しい」
経営者やリーダーから、そんな声をよく伺います。

甘やかせばつけあがる。
厳しくすれば反発する。
何も言わなければなあなあになる。
それでも、褒めれば伸びる。
ちゃんと向き合えば、期待に応えてくれる。

──人には不思議な“癖”があります。

こんなことありませんか

経営の現場では、同じ関わりをしても “相手によって反応が違う” ことがありませんか
ある社員には手厚くフォローしたら急成長したのに、別の社員には甘く見られてしまう。
逆に、厳しく言ったつもりが“否定された”と受け取られて関係がこじれる。

この揺れ動く反応に振り回され、
「どう関わるのが正解なのか…」
と迷い続けてしまう方は多いものです。


勝ち負けOSでは人は動かない

人の反応がブレる背景には、
私たちが無意識に持っている“OS”の違いがあります。

勝ち負けOS

  • 相手を「勝たせる/負かす」で捉える
  • 指示・管理が中心
  • 結果を早く求める
  • 間違い=評価ダウン

このOSのまま関わると、相手は
「責められるかもしれない」
「どうせ期待されていない」
と身構えてしまいます。

だから、厳しさは“攻撃”に、沈黙は“放置”に変換されやすいのです。

影響力OS

  • 相手を尊重し、成長を信じる
  • 行動の背景を理解しようとする
  • プロセスに価値を置く
  • 対話と安心をベースにする

このOSで関わると、
「自分を見てくれている」
「期待されている」
という感覚が生まれ、人は自然と応えようとします。

褒められると伸びるのは、
“承認されると安心が生まれ、行動エネルギーが増える”
という人間の仕組みが働くからです。


向き合い方ひとつで人は変わる

ある企業の若手社員Aさん。
上司は「放っておけば自分で成長するタイプだ」と思い、
細かい声かけをせず黙って見守っていました。

しかしAさんは「何を期待されているのか分からない」と不安を抱き、
やりがいを感じられずに空回りしていました。

そこで上司が「影響力OS」に切り替え、

  • 良かった点を具体的に伝える
  • 課題は“改善提案”として一緒に整理する
  • 結果だけでなく、取り組みの姿勢を見て伝える

という関わりに変えたところ、
Aさんは見違えるように主体的に動き始めました。

人は“勝たせる/負かす”の世界では育ちにくく、
“見守る/支える”関わりの中で力を発揮していきます。


具体的アプローチ(方法・考え方)

影響力OSに切り替えるためにできることは、実はとてもシンプルです。

① まず安心を渡す

  • 否定しない
  • プロセスを見て言葉にする
  • 行動した事実を認める

② 期待を明確に伝える

  • 何をしてほしいのか
  • どんな成長を見ているのか
  • 行動の理由を共有する

③ 結果ではなく習慣を整える

  • できた・できないではなく、
    “どう取り組んだか” に着目する
  • 改善は小さく続ける

④ 感情を整理してから関わる

勝ち負けOSが作動すると、
「イラッとした」「なんでできないの」
という感情ベースの関わりになりがちです。

一度深呼吸して、
“相手の未来に影響を与える関わり方かどうか”
を問い直すクセをつけると、関わりが安定します。


■ 経営者・講師へのメッセージ

社員や受講生を“動かす”のは、指示ではありません。
あなたの関わり方そのものです。

勝ち負けOSでは、相手は守りに入り、
行動は細く弱くなっていきます。

影響力OSでは、相手は主体性を取り戻し、
行動は太く、持続的になっていきます。

関わり方を変えることは、
相手の未来を変えることでもあります。


まとめ

  • 人が動かない理由の多くは「勝ち負けOS」にある
  • 安心・期待・対話で“影響力OS”が働く
  • 人は「褒められる」「向き合ってもらえる」と力を発揮する
  • 成長は、管理ではなく“関わり方”から生まれる

✨人は“勝ち負け”ではなく“影響力”の中で育っていきます。